レンタルチャイルド

インドの人身売買の実態、さらには「レンタルチャイルド」と呼ばれるインドマフィアの間で
金を手に入れるための道具として扱われた子どものすざまじい生活、人生にせまったフィクション。

どんなに貧困で、周囲から蔑まれても人間は生きると決めたら力を発揮する。
人々が寄り添えばそこには情や愛、責任感も芽生える。
その人々は「仲間」になり、仲間のためになら犠牲もいとわなくなる。

壮絶な実態が描かれた行間には、そのようなことが読み取れます。
あまりにも内容が衝撃的で絶句することもありますが、でも仲間に対する本当の優しさや
生きるたくましさ、どんな状況の中でもプライドを保とうとする尊さがあるということに、
少しほっとします。


インドをはじめ、アジア各地での人身売買は問題として取り上げられています。
こういう事実を知ったとき、どうすればいいのかと少し困ります。
この本を読み終えたときも、自分の感情をどこにおとせばいいかちょっとわからなくなりました。

さらにインドに限って言うと女性差別から非常に多くの、しかも尋常でない性犯罪が起こっていて
このニュースを知ったときには心から腹が立ったし「でもどうすりゃいいんだ」と戸惑いもしました。


知らないよりは良いのかもしれません。
このような事実が世界のどこかではあって、
過酷な中で生きている人たちが多くいるということを
知った上で生きていくということ。

このような事実に少しでも触れられる機会があったときに、
適正に対応できる勇気を出せるようにしないといけない。

何よりこの感情を忘れてはいけないのだと思います。

 GM
*ネタバレ注意*


ウォン・カーウァイ6年ぶりの作品は構想17年、撮影3年をかけたカンフー映画。
ブルース・リーの師匠でもある詠春拳の達人、イップマン(葉問)の自伝的な物語。
ブルース・リーが拳の達人でありながらも、非常に哲学的な深い名言を数々残していますが、
その思想の源流をこの映画で感じとることができます。


カンフーにも流派があり、さらに北と南によって技術さながら作法、思考も違います。
イップマンの詠春拳は南の地で誕生したもの。
技法を高めるためにも双方が交流していたのですが、
イップマンは北の八掛拳の宗師・宝森から流派統一の後継者に選ばれます。
そこに宝森の弟子でもある馬三、さらに宝森の娘・宮若梅(チャン・ツィイー)も手を上げたところから物語は動き出します。


武術指導は、これまでにジャッキー・チェンの多くの作品に携わったユエン・ウーピン。
それだけにワイヤー含めたアクションは天下一品。
カンフーの力強さ、流れるような1つ1つの身体の動きのしなやかさ、
そして激しさを監督が丹念に、丁寧に、優雅に撮影。

スローモションを多用していますが、それがさらにカンフーの動きの美しさを際出させる。
映像が上質なシルクのスカーフに描かれた絵巻のような、ずっと眺めていたい鮮やかさ。
そして肌が震えるほどの滑らかな触感さえ感じられるのです。



「カンフーといえばジャッキー。なんでカメオでも良いから出ないの?」
と考える方はいるでしょう。
私もふとそう思ったクチなのですが、キャスティングされなかった理由は
なんとなくわかります。あくまで私の推論ですが…。

1つはジャッキーが出てしまうことで、物語全てをもジャッキーに食われてしまうから。
それほど彼がカンフー映画に残してきた偉業が大きいということもありますし、
今や世界に通用する「カンフー俳優」でもあります。
あとは、美しさを追求する監督としてはジャッキーはその「美」におさまる器ではないということ。
立っているだけでも「ジャッキー・チェン」というオーラは突出してしまい、隠しきれないのです。


「続編あるよな…いや、ないとあかん」と思ったのは、八極拳の使い手・一線天(チャン・チェン)の
エピソードがあまりにも短い!
宮若梅と恋の予感を感じさせつつ、かつキーマン的な要素も含んでいそうな役柄にも
かかわらず、あんまりにもチョイ役すぎる。



続編があると願いをこめて…

ニャロメ!

インパクトあるその表情。
でもどこか愛嬌がある。
「ニャロメ!」というセリフのキレのよさ。
大好きなキャラクター・ニャロメが主人公の物語のみを集めた単行本。

いたずら好きのニャロメだけど、そんなニャロメを利用して悪いことをする人間の物語が
けっこう多い。


なんだかなあ…ニャロメ…。


救われるのは、泣きながらも「オレはもう人間を信じニャイ!」とすっくと立ち上がり
果敢に挑んでいくニャロメの、その姿。


女の子大好きで惚れっぽい。
情にもろい。
自分を人間と思い込み、
仲間のケムンパスやデシにはちょっと偉そう。

イタズラばっかりするけど、困っている人をみたら無視できない。

叩かれてもひどい目にあっても、「負けニャイ」と立ち向かう。

かっこいいなあ、ニャロメ。



ちなみに、照れているニャロメのその姿にどうしようもなく
母性本能をくすぐられます。

コロッケ

*いちおうネタバレ注意*


ついに!念願の!
コロッケ公演を見ることができました!
オンステージではなく、コロッケが座長を務める特別公演です。

新しくなった大阪新歌舞伎座にも今回初入場することができました。
キレイし座席もゆったりですが……やっぱ前の新歌舞伎座のほうがいいかなあ、とチラと思いつつ。

11時開演の回にいってきたのですが、予想どおり高齢者がほとんど。
でも中には若いカップルさんらもちらほら。
幅広い世代にファンがおるんやね。なんだか納得。

私の席は2階でしたが、特別席のうしろだったので舞台全体が見渡せて快適。
一番心配していた、ものまねのときのコロッケの顔の表情もちゃんと肉眼で見れたし、
舞台上には大モニターもあったのでひと安心です。


第一部は、山本周五郎原作の時代劇「わたくしです物語」。
演技もさることながら、コロッケはかつらが似合う。
つまり、顔が大きいということなんです。
かつらは、基本的に顔の小さい人は似合いません。
以前、京都太秦の撮影所で松平健氏を間近で見たことがありますが、やはり大きかった。
時代劇に出ている面々を思い出してみても、似合う人はやはりそれなりの顔の大きさがあります。

そんな第一印象を引きずりながら観ましたが、坂上忍なんかも出ていて
しっかりとしたお芝居で、後半は周囲ですすりなく声も聞こえました。


でもでもやっぱり、一番楽しみなのは第二部。
「コロッケオンステージものまねエンターテイメント2013」!!
生であのものまねが見れる……。
お気に入りの谷村新司もやってくれて、笑いすぎて頭が痛かった。

そして今、コロッケが取り組んでいる「ものまね落語」も見れました。
噺の内容はさておき、登場人物を有名人のものまねでするのですが、そのクオリティの高さは
さすが。眼をつぶって聴いていると、本人が本当にそこにいて話しているようです。

コロッケはトークも上手。
最後の歌の前にはちょっとした話をするのですが、笑いも取りつつ、ちょっと感動もさせる。
本当にエンターテイナーだなと思い知ることのできる舞台でした。

次は9月のコロッケコンサートだ!!



余談:
こういう舞台を見るときに懸念するもう1つのことは、観客のマナー。
高齢者の方たちなので、ちょっと心配していたのですが、とても鑑賞上手な方が多く驚きました。
途中であめちゃんむく音や、何かを探しているのかビニール袋のカサカサ音は
しょっちゅう会場のあちこちから聞こえましたが、私には想定内の範囲。

ただ横にいた人が飲み終わったアイスコーヒーのプラスチックをなぜか
ゴリゴリ潰しはじめたのです。しかも舞台のクライマックスに。
これには一緒に観ていたおかんもキレて「うるさいな!」と言ってました。

women

*ネタバレ注意*


待ってた新作は、あの「オフ・シーズン」「襲撃者の夜」の続編とも言うべきもの。 
共著のラッキーは、ケッチャムの数々の作品の映画監督の務めた人物だそうで、
相性は良いようです。


主人公は、食人族の生き残りであるウーマン。
クリスが狩りのときにみかけた、上半身裸で水浴びするウーマンに魅せられ、
ウーマンを手に入れるため罠を仕掛けて、家の地下室で「飼い」はじめる―。

最初は「ありえない、こんな設定にこんな登場人物」と思うけども、読んでいるうちに
「……こういう人、おるかもしれん」と思わせるのが、ケッチャムのねっとりとした
人間の心の奥底に潜む、悪しき心の存在の執拗で見事な描写。

前半はクリスの欲望が爆発し、さらに息子までもが父に影響を受けて
本来の欲望に疼いてしまう。読んでいるこっちも嫌悪感が最高潮に達します。
しかし、後半はウーマンが形勢逆転。
終盤から最後まで鮮血にまみれた展開になり、クリスの家族の驚くべき「秘密」も
あきらかになります。


そして、もう1つの作品「カウ」は、この事件後のウーマンの続編が収められています。
この2作品を通して思うのは、もともと人類はこうやって種族を増やしていき
生きてきたんだということ。
残酷でも、今の私があるのはこういったことを繰り返してきたから。
こう思うと、なんだかしみじとしてしまうのです。


ケッチャムの作品を読んでいると、どんな善良と言われる人にも
絶対的悪というのは必ず存在し、それを意識し、目覚めてしまうと
本人でさえどうしようも抑えることができないのだということがよくわかります。

グロくて最悪な物語なのに、読後はなぜか爽快感。
この作品に限っては、同じ女性という観点から読めたのでよけいにスカーッと
してしまったのかも……。
ケッチャムは、新しいスプラッターストーリーを開拓したのかもしれません。


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