J・エドガー

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    Jエドガー1

    ★ネタバレ注意★



    FBIの基盤を作った、初代FBI長官のJ・エドガーの半生を、クリント・イーストウッド監督が描く。脚本は「ミルク」でアカデミー脚本賞を受賞した、ダスティン・ランス・ブラック氏。

    ロバート・F・ケネディ、ニクソンなど歴代の大統領も恐れた男とされるエドガー。
    20代のころに、情報力の大切さを訴え、完璧に情報を管理するシステムを構築。
    さらには盗聴など違法な手段を使ってまでも情報収集をし、それをちらつかせ大統領に自身の願望を叶えていく。
    どんな独裁者も、最初は「正義を尽くしたい」と思ったはず。それがなぜ傲慢で自分勝手で、恐れられるようになってしまうのか。これがはっきりとわかる映画でもあります。

    そんな彼の仕事ぶりに反して、彼の内面はとても繊細。
    話すスピードが遅いことから、皮肉にも「スピード」をいう影のあだなを付けられていることを知らなかったエドガー。副長官のクライド・トルソンと友情以上の関係を持ち、それを知っている母からは常に「強くあれ」と母に言われ続け、その言葉だけを励みにし自分を叱咤し続ける。

    その繊細さがよく現れているのが、女性からダンスに誘われるシーン。
    それまで自身のこれまでの実績を流暢に語っている彼は突然、激しくどもります。
    急いでトルソンとともに席を離れるエドガー。
    母の部屋で、彼は心を落ち着かせるように言われ、自分の姿が映る鏡に向かい一心不乱に
    「ダンスは嫌だ」とうまく話せるまでなんども話し続ける彼。
    「強くない息子なんて死んだほうがまし」といわれ、ひしゃげそうな心を鼓舞し続ける。

    胸が詰まる…。

    強い象徴が、彼にとってまさに権力で、彼が彼であり続けるために必要なものだった。
    独裁者がかかえる孤独の1部を、彼ももっていたのです。

    ちなみに秘書役はナオミ・ワッツ。
    20代のエドガーは、会ってすぐに結婚を申し込みますが、
    しかし彼女は「結婚に興味はない」ときっぱりと断ります。
    そこからエドガーは彼女を生涯の秘書として雇い、信頼できる数少ない人間の1人になります。
    この映画に女性の主要キャストととして出るのは彼の母と、この秘書のみ。
    ここから考えると、彼の回りには強い女性がいて、だからこそ、余計に彼は強くあらねばならなかったのかな…とも思います。


    ディカプリオ×イーストウッドという大物2人の初タッグということでも話題になりましたが、
    ディカプリオは20代から老人の演技をやり遂げています。
    晩年のエドガーとトルソンが向かい合って朝食を食べるシーンがあるのですが、
    ゆったりとした動き、そして2人の間に積み重ねてきた長い年月の空気がちゃんと出ている。
    すごいな。

    演技はすばらしいけど、特殊メイクには限界があるかなー。
    特にトルソンは…顔が棒みたいになっちゃってる。
    しゃあないよなあ。



    重厚な半生をしっかりと書き上げた脚本もさることながら、
    ムダな演出をせず、冷静に丁寧に取り上げていくイーストウッド監督。
    この無骨さがたまらない。
    でも無骨な中に、ものすごく純粋な人間への愛情が必ず入っている。

    良い監督だなぁ、イーストウッド。
    改めて敬意を表したくなる1作でした。

          
          
         
      
          

    星をつくった男 阿久悠と、その時代

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      aku

      JUGEMテーマ:読書 
      *ネタバレ注意

      ここ最近、多くなったなあと思うものの1つが過去のランキングを紹介する歌番組。
      「なつかしの年代別ベスト10」「夏にききたくなるヒットソングベスト10」
      「昭和ヒットランキング」…などなど。

      企画の1つとして定着している歌番組を見ると「過去を何回も反芻してどうする」
      という気になってしまうのですが、
      なんでこの手の企画や番組が増えたのかと考えてみると、
      ヒントはこの本の中にあるような気がします。

      作家・重松清氏がライターとして取り組んだ、日本を代表する作詞家の一人、
      阿久悠氏のヒットを産んだ背景である幼少時代からを追いかける作品。
      重松氏の丁寧で、愛情と尊敬のこもった文章の熱さがひしひしと感じられます。


      その中で、昭和時代ヒットを飛ばしてきた阿久氏がとたんにヒットを生み出せなくなる
      ある分岐点がやってくることを示唆する部分があります。
      その原因の1つであるのが、「ウォークマン」の登場。

      阿久氏は著書で、
      「本来、歌謡曲とはいかに聞く気のない人々の耳に飛び込み、一瞬で心を惹きつけ、
      その音をまわりの人と共有させるかでその真価を発揮するものだ」
      と書いています。

      ウォークマンが登場するまでの時代は、音楽を聴く場所というのは確かにいたるところにありました。
      商店街、バー、酒場、何気なく入った店舗で流れる有線放送、ラジオ…。
      そこには必ず音と人がいた。音を共有する環境があった。
      そこで「この曲いいな」と思った人たちが複数いて、音と一緒にそのときの状況・景色が
      自分の中にすりこまれていく。

      だからその曲が流れると、音とともに状況や景色が目の前にばあっと広がる。
      どんなときでも。そして懐かしさや悲しさ、喜びをかみ締める。
      その感情を、その曲が好きな複数の人たちはわかりあい、共感できる。

      しかしウォークマンが登場して以降は、音は耳の中に直接飛びこんでくる。
      電源を切れば、音は入らない。
      流れてくる音を選択しているから、それ以外の音が入ることはまずない。
      そして、そこから個々の時代に入っていき、人とぶつかるようなコミュニケーションが
      希薄になってくると、さらに音を共有しずらくなってくる。

      「歌は人々にぶつかり、跳ね返りながら、世の中を駆け抜けていくそうして
      人から人へと乱反射しながら、さまざまな受け取り方をされてだんだんと広がっていくのだ」

      自身の持論を証明したのが、皮肉にもウォークマンだったのです。


      でも再び私たちは音を人と共有したがっているような状況になっていると感じます。
      その証拠の1つとして見られるのが、歌番組の「なつかし・ランキング」企画でもあり、
      野外フェスがぐんと増えたのも、もしかすると「音の共有」の形かもしれません。

      今の時代に阿久氏がいたら、どんな作詞をしたんだろう。

            
            
           
        
            

      この世の全部を敵に回して

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        敵
        *ネタバレ注意


        敬老の日の翌日、お坊さんがばあちゃん家にお経をあげにくるため、
        両親と一緒にばあちゃん家へ行きました。
        そこに父の弟であるおじさんもやってきて、めずらしく昼間から身内がそろうことに。

        お経を聞きながら、おじいちゃんや大ばあちゃんをはじめ幼い頃にあったことのある
        数少ない親戚を思い出しつつ、ここにそろう家族の今後、家族が今まで経験してきた
        様々な問題、両親がもっていた私が知る限りの悩みや、今自身が抱える問題なんかも
        ちょっと出したりしながら考えていくと、自身が持っている悩みとか問題なんて、
        ご先祖の方々や両親、ばあちゃんからしたらハナクソ程度なのかなあと想像したりしました。


        と、ここで思い出したのが読んだばかりのこの本。
        私にとって白石一文氏の作品は、これが初読みとなります。


        作者の亡くなった友人、K***氏が生前書いていた原稿という説明から、物語は始まります。
        K***氏が綴ったとされるこの原稿を読んでいくと、かなり強烈な死生観が書かれています。
        結婚していたにもかかわらず「私は子供たちのことも妻のことも愛してはいない」とはっきりと記し、
        「人間は癌のような存在だ」としながら、生きることや死ぬこととは何か、人間とは何かを
        自問自答しつづけます。

        この内容に嫌悪感を抱く人もいるでしょうし、「そうだ」とある部分では納得する人もいると思います。
        嫌悪感を抱きながらも、反発しながらも最後まで読んでしまえるのは、ゆるぎない話の根幹。
        それは第二章を読むとわかる。第一章の痛烈な内容は、すべて第二章のためのものなのです。


        本音と真実、妄想と現実は違います。
        生きていると、それを混同したりしてしまいがちです。
        そのせいで人は悲しんだり、犯罪を起こしたり、笑ったり、喜んだりする。

        そういう動物であるということを自覚すること、
        そして「生命に限りがあるというのはどういうことなのか」を考えることで
        もっと生きやすく、強く、たおやかになれることを、この本で学びました。


        私の中では「シャンタラム」に次いで、生きているうちに何回もページをめくる本になりました。
         

              
              
             
          
              

        アベンジャーズ

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          ave2

          これからこの映画をご覧になる方へ。
          何よりお伝えしたいのは、絶対に最後の最後まで席を立たないでくださいということ。
          劇場内が明るくなるまで。

          では以下、念のためネタバレ注意でどうぞ。



          MARVELの人気者が集い結成された「アベンジャーズ」。
          「アイアンマン」(ロバート・ダウニーJrはモロ好み)「ハルク」「マイティ・ソー」(このキャラ設定好き)「ブラック・ウィドウ」「ホークアイ」「キャプテン・アメリカ」。
          それぞれがもった特殊能力を生かして、地球を守る壮大な物語。


          「アイアンマン」だけは映画でずっと見てきた私と相方。
          そこで相方から「あれ。この映画、アイアンマンの続編じゃないの?」と質問がありました。
          「んー違うね。この映画はマーベルレーベルの特別編って感じ。日本で言うと「ドラゴンボール」の孫悟空とか「ガンダム」とか人気キャラが集まってる……感じ?」と説明しときました。

          この映画が話題になり人気になったのは、マーベルアニメの人気物が1つの物語に集っているということが挙げられるでしょう。
          とはいえ、日本でアメコミというのはあまり浸透していない感もあります(日本のアニメ・マンガがおもしろいからというのも理由にあるような…)
          上のようなおぽんちな知識しかない私と相方のような者でも、充分に楽しめる娯楽作品。

          ちなみに、後追いで自宅で借りてきた「ハルク」「マイティ・ソー」を見ました。
          「ああ、これでこうなって、アベンジャーズにつながるのかあ」と腹落ち。
          答え合わせしている気分でした。


          この手の映画にはかかせない技術を駆使した映像はいわずもがな。
          気持ち良いほどの爆破・戦闘シーンはスカッと気分爽快です。
          そして何よりも「音」がいい。
          いくら映像が進化したとはいえ、ホームシネマで爆音を響かせることは無理。
          映画館っていいなあ、すごいなあと改めて思いました。


          あと、見に行ったとき、劇場に外国人の団体の方たちがいらっしゃったのですが
          劇中のジョークにすごい反応して思い切り声を挙げて笑っていました。
          こういう見方もいいものね、とほほえましくなりました。


                
                
               
            
                

          「アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲」ほか

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            ステロイドUSA

            昨日も書きましたが、とにかく12時すぎには我が家を出ないと、
            暑さで干からびてしまうという夏の現状。

            タバコを吸わない私にとって、喫茶店などのお供は本とMPプレイヤー。
            たまに取材用書類持参といういこともありますが、飽きるとすぐ本を開いてしまう。
            これがないと2〜3時間も過ごすことはできません。
            逆に、これがあればいつまでーもいることができる。
            飲み物お代わり2杯はあたりまえです。

            そこで、ここ最近読んだ本をご紹介。


            ☆「アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲」
            映画評論家、町山智浩氏による、アメリカスポーツ界のコラム。
            ブレない、完璧な洞察力であらゆるアメリカスポーツ界を解き明かし、ときにはバカバカしいニュースも逃すことなく、見事にそのカラクリを暴く。

            とにかく町山氏の本は、私たちの知らない「アメリカ」がたくさん書かれています。
            アメリカ人も知らない、本当のアメリカがあります。
            知っていそうで自分は何1つアメリカについて知っていなかったことに気付かされます。
            その知らない部分に、私は多いに惹かれ、好奇心が常に刺激される。
            「そういうことだったのか!」という爽快感と高ぶりを知ってしまうと、ぬけれない。
            まるで麻薬のようです。


            ただ、「わかりにくいニュースをわかりやすく解説する人」と町山氏はちょっと違います。
            あちらのほうは、基本的に政治という大きな問題を解説してくれています。
            確かにわかりやすいけども、聴いている自身とその内容にはるかな距離間を感じる。
            だから「へーそーなんやー」と聴いた言葉は強風が吹けば一気に飛び散ってします。

            しかし町山氏が本で取り上げるのは、黒人やブルーカラーなどアメリカの最底辺といわれる人たちが中心。このスポーツ業界にしても、登場する選手の生い立ちを辿ると、このどん底につきあたる。
            なぜ、そこがどん底なのか。なぜそうなってしまったのか。
            それこその要因は政治、人種問題、アメリカの歴史など様々。そこを説明するからこそ、本当のアメリカが見えるし、より身近に感じることができるのです。

            これと、「キャプテン・アメリカはなぜ死んだか 超大国の悪夢と夢」を、
            アメリカ留学を控えている人には、必ず熟読してほしいです。


            ☆「私を脱がせて」
            ご存知、カルーセル麻紀女史の自伝本。
            大麻所持容疑の逮捕の詳細から、生まれ出てきた性から、女性へと変換し、
            その後の活躍ぶり、人間関係をかなり詳細に紐解いています。

            芸能界でも「ミスターレディ」の先駆者だった彼女。
            苦労の連続だったのはもちろんですが、とにかくタフ。
            このタフさがないと、まだまだ性に対して閉鎖的だった頃の日本ではやっていけないということが
            ひしひしと感じられます。
            でも彼女は終始かろやかに、あでやかにこの体験を綴ります。
            「まー大変なこと色々あったけど、いいのよ」
            このひと言で全てを丸く納めてしまう。この度量も彼女の魅力なのかなと思います。

            本当に冷静に内容を思い返すと、普通の人ではできないようなことをやってのけている彼女。
            その動力は美しさへの憧れと、ヌードダンサーであることへの誇り。
            そもそも、性転換手術をした理由も「踊るときに男性器が邪魔でヌードになることができない」という
            ダンサーとしての欲望も強かった彼女。
            プロ根性と美への追及。これが彼女の人生の全てなのかもしれません。

            芸能界で活躍しだすと、あらゆる男性たちが彼女に対して「セックスさせろ」と
            言い寄ってくるのですが、その理由が「ミスターレディーはどんなものか試してみたい」という
            あからさまな好奇心。
            こういうところは男性って普遍的に変わらないのかねーとあきれます。



            ちなみに、基本的に購入するのは文庫です。ハードカバーは扱いずらいし、かさばるし、
            保管スペースも、狭い我が家ではあまりないのです…。
            カルーセル麻紀女史の本は、友人から借りました。ありがとう!姉さんナイスチョイス!

            長くなりました。続きはまた後日。

                  
                  

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